印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション
三菱一号館美術館へ行ってきました。
現在「印象派からその先へー世界に誇る吉野石膏コレクション」が開催されています。年の瀬で町には人があふれ、まっすぐには歩けないほどでしたが美術館の中はそれほどでもなく、ゆっくりと見て歩くことができました。
印象派からその先へということでしたが印象派以前のコローやミレーの作品から始まっていたのは嬉しいことでした。先ずはたっぷりと郷愁に浸ることができました。
モネはロンドンの風景をたくさん描いていますが「霧がなかったらロンドンは美しい街ではなかった」と言っただけあって霧のロンドンを描いた作品は秀逸でした。
又、今回おやっと思ったのはパステル画が目についたことです。ルノワールも珍しくパステルで描いていましたし、メアリー・カサットもそうです。しかし、何といっても私の目を引いたのはドガの「踊り子たち」です。踊り子のチュチュのふわっとした質感、肩甲骨のでっぱり、思わず近くに寄って見てしまいました。
ピサロ、シスレーはいつ見ても心なごむ作品が多いですね。さすが印象派の常連といった感じです。
次世代のルオーの作品では面白いものを見つけました。「バラの髪飾りの女」です。いつもならキリストや占い師、ピエロといった男性の顔が多いのですが、この作品は大きな目をした美しい女性だったのです。
こんな作品もあったのかと驚きとともに出会えた喜びでいっぱいになりました。
最後はシャガールです。キャンバスを占める大きな窓、その窓からはシャガールらしからぬ写実的な山が眺められます。こちら側の部屋にはバラ色の椅子が一つ。シャガールとベラはいつものように浮遊しています。でも、いつもの夢のような世界とは全く違います。色もタッチも。
シャガールがシャガールであることを忘れて幸福な日常をつい描いてしまったという感じなのです。革命の中のロシアに見切りをつけてパリに来たシャガールにとって、フランスでの生活は束の間の幸福な日々だったのではないでしょうか。